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うみねこ通信 No.327 令和8年9月号

ピロリ菌について

消化器内科医師 坂本 奏太

ピロリ菌は胃の中に存在している菌です。胃酸で菌は死んでしまうのではないかと思う人もいると思いますが、ピロリ菌はアルカリ性のアンモニアを産生することで胃酸から身を守り、胃の中でも生きることができます。そんなピロリ菌について今回はお話ししようと思います。

どのように感染するの?
日本でピロリ菌に感染している人は少なくとも3000万人、特に50歳以上での感染割合が高いと言われています。ではどのように感染するのでしょうか。まず1つは、井戸水から感染します。ピロリ菌は糞便や土の中に存在しており、ピロリ菌で汚染された井戸水を飲むと感染すると言われています。2つ目は感染した大人が赤ちゃんに口移しで食べ物を与えることで感染すると言われています。ここでポイントがあり、感染するのは4、5歳頃までという点です。その理由としては、胃の免疫機能が発達していない時にピロリ菌が胃に定着してしまうからす。免疫機能が発展した大人になってからピロリ菌にさらされても感染はせずに、一過性の胃炎で終わることがほとんどです。よって、上下水道が整備され、離乳食も発展してきている現代ではピロリ菌の感染はどんどん減少してきており、若い世代での感染はほとんど見られなくなってきているため、50歳以上での感染割合が高いと言われています。
 
ピロリ菌がいると何が悪いの?
ピロリ菌は様々な病気に関連します。代表的な例は胃癌です。ピロリ菌の除菌によって、胃癌は発生、再発率が半分~3分の1にまで減少するといわれており、他の病気の中にもピロリ菌の治療を行うだけで改善、治癒する病気もあります。
 
検査はどうするの?
ピロリ菌の検査は様々ありますが、簡便にできる血液検査、便の検査が主に用いられます。血液検査ですが、血液を外の施設で検査を行ってもらう外注検査にあたるため、結果が出るまでに数日~1週間程度時間がかかります。便の検査は前もって便の容器をお渡しするため、家で便をとってきていただき、検査をします。これは当日検査結果がわかります。また、胃カメラも重要な検査です。血液検査や便の検査でピロリ菌が陽性となっても治療適応にはなりません。胃カメラでピロリ菌が感染して起きている胃炎、専門用語で言うと萎縮性胃炎があるかどうかが重要です。胃カメラで萎縮性胃炎がある、血液検査や便の検査でピロリ菌がいる人がピロリ菌の除菌の適応になります。
 
治療はどうするの?
治療は1週間お薬を飲んでいただきます。それで90%の人は除菌ができると言われています。では、10%の除菌できなかった人はどうなるのでしょうか。その方たちは2次除菌といって、再度1週間お薬を飲んでいただきます。それでさらに90%の方は除菌できると言われています。では、それでも除菌できなかった方はどうなるのでしょうか。残念ながら保険でできる除菌は2次除菌までなので、自費で3次除菌を行うか、ピロリ菌除菌失敗として、1年に1回胃カメラを受けていただいて、胃癌などのピロリ菌による病気が発生していないかをチェックすることとなります。
 
治療が終わっても胃カメラは必要なの?
よくピロリ菌を除菌したら終わりと思われている方もいらっしゃいますが、それは違います。確かにピロリ菌を除菌すれば胃癌の発生率は低下しますが、先ほどお話しした萎縮性胃炎はピロリ菌を除菌しても残ってしまいます。それが癌の発生母地となってしまうのです。よって、ピロリ菌に感染したことがない人と比べると、胃癌が発生しやすい胃に変化してしまっていると言えます。そのため、ピロリ菌を除菌した後も定期的な胃カメラが重要になります。医師が萎縮性胃炎の程度によって、どのくらいの頻度で胃カメラをやった方がよいか提案させていただきますので、その指示に従っていただければと思います。胃癌が不安な方、早期発見をしたい方は毎年の胃カメラを推奨します。
 

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