HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ 令和7年8月号
うみねこ通信 No.326 令和8年8月号
乳がん手術の変遷について
~生活の質を落とす合併症のひとつである上肢リンパ浮腫を減らすために~
外科部長 兒玉 博之
- 1.「すべて取り除く」から「最小限にとどめる」時代へ
- かつての乳がん手術は、がん細胞を体から完全に退治するため、乳房だけでなく、脇の下のリンパ節も周囲の組織と一緒に広くすべて取り除く「腋窩郭清(えきかかくせい)」という方法が標準的でした。
- しかし、この手術は高い治療効果がある一方で、多くの患者さんを悩ませる大きな後遺症を引き起こしていました。それが「上肢リンパ浮腫」です。
- リンパ節は、腕から心臓へと戻るリンパ液の通り道にあります。ここを大きく切除してしまうと、行き場を失ったリンパ液がたまり、腕が腫れたり、重だるさや痛みを伴ったりするようになります。一度発症すると治癒が難しく、患者さんの日常生活の質を大きく下げる要因となっていました。
- 2.劇的な変化をもたらした「センチネルリンパ節生検」
- このリンパ浮腫を大幅に減らすために開発され、現代の乳がん手術に劇的な変化をもたらしたのが「センチネルリンパ節生検」という技術です。
- 現在、術前の検査で脇の下のリンパ節に転移の兆候がない患者さんには、この術式が標準となっています。
- 「センチネル」とは「見張り番」という意味です。がん細胞が乳房からリンパ流に乗って移動するとき、最初にたどり着く「見張り番のリンパ節」を特定し、手術中にその部分だけをピンポイントでくり抜いて顕微鏡で調べる検査です。
- ・検査の結果、転移がない場合。または転移があっても極々微小な場合
- がん細胞はそれより奥のリンパ節には進んでいないと判断できるため、残りのリンパ節を切除せずにそのまま残します。
- ・検査の結果、転移が見つかった場合
- 必要に応じて、奥のリンパ節までしっかりと取り除く腋窩郭清を追加します。
- センチネルリンパ節生検の登場によって、生活の質を落とす合併症のひとつである上肢リンパ浮腫発症率が低下しました。
- しかし、これは乳がんが進行しておらず腋窩リンパ節転移がないことが前提の手技です。
- 乳がんは早期に発見できれば、より負担の少ない手術で治せる可能性が高まります。気になる症状がある方は病院受診を、そうでない方も定期的な検診を受けましょう。
- 〇Instagramのご案内
- Instagram掲載内容
- ・病院長へのインタビュー
- ~青森労災病院はどのような病院なの?~
- ・研修医、看護師、薬剤師、理学療法士の職員紹介
- ~なぜこの仕事を選んだの? 職場の雰囲気や育成環境は?ワークライフバランスは?~
- ・各種イベント・説明会等のご案内
- 今後も様々な内容を掲載していきますので、是非ご覧ください。
