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うみねこ通信 No.324 令和8年6月号

お口の健康で守る、体の元気!
~毎日の歯みがきと「オーラルフレイル」を知ろう~

第二歯科口腔外科部長 長内 俊之

 
みなさんは、毎日きちんと歯みがきをしていますか?
歯みがきは、むし歯や歯周病を防ぐだけでなく、体の健康を守るためにもとても大切です。
近年、「オーラルフレイル」という言葉が注目されています。これは、かむ・飲み込む・話すといった、お口の機能が少しずつ弱っていく状態のことです。
オーラルフレイルでは、「食べにくくなった」「むせやすくなった」「滑舌が悪くなった」などの小さな変化がみられます。こうした変化が積み重なると、体全体の衰えにつながります。実際に、お口の機能が低下すると、低栄養や筋力低下を引き起こし、将来的に介護が必要になるリスクが高まることや、認知機能の低下につながることがわかっています。
しかし、オーラルフレイルは、早い段階で気づき、適切な予防やトレーニングを行うことで、健康な状態へ回復できる可能性があります。
お口の健康については、「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020(ハチマルニイマル)運動」が広く進められてきました。令和6 年時点では、8020を達成した人の割合は約6 割(61.5%)となり、年々増えています。
一方で、日本では子どものむし歯は減少していますが、成人では約3 人に1 人に治療が必要なむし歯が残っているとされています。また、高齢者では自分の歯を持つ人が増えたことで、むし歯も増える傾向にあることがわかっています。
むし歯予防のための効果的な歯みがき方法として、2023年に歯科関連4 学会から「う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」が公表されました。現在の歯磨き剤には、高濃度(1450ppm)のフッ化物が配合されているものが多く、次のような使い方がすすめられています。
・歯磨き剤は歯ブラシ全体(1.5~ 2 ㎝程度)につける
・就寝前を含め、1 日2 回歯みがきを行う
・歯みがき後は、歯磨剤を軽くはき出し、うがいは少量の水で1 回だけにする
 

う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法

 
(2023年版)
 
日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会
 
 
年齢 使用量(※1) フッ化物濃度(※2) 使用方法
歯が生えてから2歳 米粒程度
(1〜2mm程度)

900〜1000 ppmF ・フッ化物配合歯磨剤を利用した歯みがきを、就寝前を含め1日2回行う。
・900〜1000 ppmFの歯磨剤をごく少量使用する。歯みがきの後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取ってもよい。
・歯磨剤は子どもの手が届かない所に保管する。
・歯みがきについて歯科医師等の指導を受ける。
3〜5歳 グリーンピース程度
(5mm程度)

900〜1000 ppmF ・フッ化物配合歯磨剤を利用した歯みがきを、就寝前を含め1日2回行う。
・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す。うがいをする場合は少量の水で1回のみとする。
・こどもが歯ブラシに適切な量の歯磨剤をつけられない場合は、保護者が歯磨剤をつける。
6歳〜成人
(高齢者を含む)
歯ブラシ全体
(1.5cm〜2cm程度)

1400〜1500 ppmF ・フッ化物配合歯磨剤を利用した歯みがきを、就寝前を含め1日2回行う。
・歯みがきの後は、歯磨剤を軽くはき出す。うがいをする場合は少量の水で1回のみとする。
・チタン製歯科材料(インプラントなど)が使用されていても、自分の歯がある場合はフッ化物配合歯磨剤を使用する。
また、お口の健康を守るためには、歯だけでなく「舌」や「お口の筋力」にも注目することが大切です。舌は、食べ物をまとめて飲み込みやすくする重要な役割があります。舌の力が弱くなると、食事内容が偏ったり、栄養不足につながったりすることがあります。
オーラルフレイルの予防には、簡単なお口の体操も効果的です。たとえば、「あー」「いー」と大きく口を動かしたり、舌を前に出して上下左右に動かしたりすることで、口の周りの筋肉を鍛えることができます。こうした習慣を毎日続けることが、お口の機能を保つことにつながります。
お口の衰えは、50代頃から少しずつ始まるといわれています。自覚しにくいからこそ、早めの対策が大切です。「最近むせやすい」「硬いものが食べにくい」と感じたら、オーラルフレイルのサインかもしれません。
お口の健康は、全身の健康や健康寿命と深く関係しています。毎日の歯みがきとちょっとしたケアを続けることが、将来の自分の健康を守ることにつながります。今日からできることを、一つずつ始めてみましょう。
 
 

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