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うみねこ通信 No.297 令和6年3月号

治療と仕事の両立支援をご存知ですか?

両立支援コーディネーター(MSW)小笠原 嘉紀

皆様は【治療と仕事の両立支援(以下、両立支援)】についてご存じでしょうか?両立支援は、病気を抱えながらも、働く意欲・能力のある労働者が、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療の必要性を理由として職業生活の継続を妨げられることなく、適切な治療を受けながら生き生きと働き続けられる社会を目指す取り組みです。青森県でも県内の実情に応じた治療と仕事の両立支援を効果的に進めるため、『青森県地域両立支援チーム』が結成されていますが、まだまだ社会的に認知されているとは言い難い状況と言われています。
近年では医療技術の進歩により、がんについても『不治の病』から『長く付き合っていく病気(慢性疾患)』に変わりつつあり、それに伴って仕事を行いながら治療を続けていくことが可能になってきており、両立支援の重要性が高まっていると言われています。
また悪性新生物(がん)だけでなく、脳血管疾患、肝疾患、心疾患、若年性認知症、糖尿病などを抱えて働いている方を支援した場合に『療養・就労両立支援指導料』の診療報酬が制度として組み込まれており、国としても両立支援に力を入れているということがご理解頂けると思います。
治療を継続するための両立支援というと、どうしても労働者の方から、企業側に対して『休ませて欲しい』『〇〇はできない』などと企業側に一方的にお願いするイメージを持たれているかもしれません。もちろん、患者さんの疾患や身体の状態など治療上の避けて通れない状況があるため、「元のように働けるか不安がある」「上司や会社になんて伝えればいいのかわからない」などの企業側に相談しにくい内容があるのは事実です。
しかし企業側にとっても『労働者のモチベーションや生産性の向上』『人材の定着』などのメリットがある取り組みとなっています。実際の支援でも本人の復職(仕事内容及び勤務時間の変更や部署の異動などの業務調整)のために、担当者の方から「どのくらいのペースで受診が必要なのか?」「〇〇の業務ならできるのか?」と質問を頂き、その内容を踏まえた支援を行ったことによって、より本人の状況に合わせた復職を行うことができた方もいらっしゃいます。
青森労災病院では平成30年4月1日から両立支援相談窓口を開設し、専従の両立支援コーディネーター(MSW)を配置し、これまで多くの患者さんの支援を行ってきており、職場復帰についての実績(人事担当者や患者さんの上司の方との連携によるもの)を有しています。
実際に患者さんのところに行き、話を伺うと「病院で仕事の話を聞いてもらえると思わなかった!」「そういう制度があることを初めて知った」「会社の事務の人が言ってた意味がようやくわかった」などという声もまだ聞かれており、患者さんが相談に来るのを待つだけではなく、積極的に啓発(広報)していくことも両立支援を行う上で必要なことではないかと感じています。
また、独立行政法人労働者健康安全機構のホームページでも全国の労災病院の取り組みをまとめ、両立支援の各種書式等だけでなく具体的な手順や事例まで掲載した【両立支援マニュアル】を公開しておりますので、ぜひご覧ください。
両立支援の相談に関しては、患者さんだけでなく、家族の方、事業者(企業)の方、産業保健関係など様々な方からの無料で相談(来院、電話どちらでも可)に対応していますので、お気軽にご相談下さい。
 

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