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うみねこ通信 No.294 令和5年12月号

がんリハビリテーション及びがんメンタルケアへの感謝

がん診療センター長兼放射線治療科部長 真里谷 靖

2020年秋に当院にがん診療センターが開設されてから、早くも3年が経ちます。その間に新型コロナウイルス・パンデミックという予想もしていなかった災厄がありましたが、今年に入りようやく大変な時期を抜け出したようです。しかし、がん治療に関してはコロナ云々に関わらず多忙な日々が相も変わらず続いており、我が放射線治療科、ライナック照射装置も過労気味の“からだ”に鞭を打ち、時間も忘れて働いております。
そのような中で、がん診療センター内において存在意義が着実に高まっていると感じられる診療支援部門があります。それは、中央リハビリテーション部臨床心理室です。
前者はリハビリテーション科医師のもと、理学療法、作業療法、言語療法という3つの部署から構成され、我々が入院患者さんを託す“がんリハビリテーション(がんリハ)”は、前2部署が主として担当しています。主治医としては、多くが高齢で未だ週末一時帰宅も許されない入院患者さん達が、毎日大変な治療と刺激の少ない病棟での生活を続けていくうちに、体力低下、身体機能低下を来すのではないかと心配する訳ですが、がんリハが始まると間もなく患者さんの顔つきが変わり、何日か経つうちに体軸、体動がしっかりしてくるのを感じることが出来ます。入院生活半ば以降には、リハビリが生活に組み込まれた日々のリズムが出来上がるようです。
がんリハの依頼開始当初は、入院時の体力を退院時まで維持してもらえれば十分などと考えておりましたが、実はこれが大きな間違いでした。入院期間の長短に関わらず、適切な指導をいただいた患者さんたちの身体機能低下や不調の訴えは、退院時には明らかに改善していることが多く、最近は、がんリハ依頼自体が予め体力向上や体調改善を期待してのものとなっています。(すっかり依存した形となっており、スタッフの皆様には足を向けて寝られません。よろしくお願いします。)
一方、後者、臨床心理室には、室長である医師1名と公認心理師2名が所属しており、患者さんのメンタルケア/サポートを実際に細かく担当するのは公認心理師のお二人です。この領域については、私自身がかつて医学生時代に興味を持って講義(心理学)を受け、独学というか雑学として市販の書物を数多く眺めていました。しかし、がん診療センター設立前の時期に公認心理師の方々とお話をしたところ、プロフェッショナルの術(アート)をしっかりと感じ取ることができ、素人の身体科医師がどうのこうのと言えるレベルではないと確信、以後は患者さんのメンタル面全般について一任することになりました。
当院のホームページ(インターネット/ブラウザで青森労災病院がん診療センター臨床心理室と打って検索してください)をご覧いただくと活躍の一端をみることが可能です。例えば放射線治療科の入院患者さんは、原則入院時にメンタル面の評価をいただき、必要と判断された場合には定期的な訪間・面談を行っていただきます。
がん患者さんがメンタル面で調子を落とすのは当たり前のことで、別にメンタル系の病気を念頭においての依頼ではありません。しばしば長丁場の治療となる放射線治療では、がんという診断以外に何だか訳の分からない(?)治療に伴う不調、治療後の不安など心配の原因は尽きることがありません。もちろん主治医も回診時にお会いするわけですが、生来口が重い私などには患者さんも話す気にならないのか会話がはずむ訳もなく、公認心理師さん達から自らは気づかなかった大事な情報をいただくことがしばしばです。
そのようにしてセンター設立以来忙しくお仕事いただいている中、公認心理師のお二人はアカデミックな分野でも活躍され、がんメンタルケア/サポートの分野において東北地方では図抜けた業績を挙げられており、本当に頭が下がります。ホームページに閲覧可能な資料が掲載されていますので、皆さん是非ご参照ください。
以上、普段から大変お世話になっている診療支援2部門についてご紹介させていただきました。
またがん診療センター長として、スタッフの皆様には、この場をお借りして心からの感謝を申し上げます。
 

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