閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫  平成29年9月号

うみねこ通信 No.219 平成29年9月号

血液型って一生変わらない?

臨床検査技師 大久保 亜紀子

血液型ダイエットや血液型性格診断など、何かと話題の血液型ですが、血液型について皆さんはどれくらいご存じですか?

血液型の歴史はそれほど古くなく、1900年ラントシュタイナーによってABO血液型が発見されたことに始まります。その後、Rh血液型など次々に新しい血液型が発見され現在では約300種類もあると言われています。

私たちに一番身近なABO型の血液型ですが、どのようにして判定されているかご存知ですか?

それは採血した血液の赤血球上にあるA抗原・B抗原を調べるオモテ検査と、血しょう中にあるA抗体(A抗原に対する抗体)・B抗体(B抗原に対する抗体)を調べるウラ検査を行って、オモテ検査とウラ検査が一致した時に血液型を決定します。

ところで、人の血液型はいつ決まるのでしょうか。生後28日未満に見られるA抗体・B抗体は母体に由来し、生後4~6か月でもその子の血液型を決める抗体はまだ存在していません。この時期に微生物や植物の抗原に絶えずさらされることによって、血液型を決めるA抗体・B抗体が作られます。外界に存在している微生物や植物の抗原はA抗原やB抗原と構造が似ているため、自分にない抗原に出会うことで抗体を産生します。つまり、O型・B型ではA抗体を産生し、O型・A型ではB抗体を産生し、A抗原・B抗原の両方を持つAB型ではA抗体もB抗体も産生しません。このことから生後6か月未満の子供の血液型を検査しても正しく判定できないのです。その後、5~10歳くらいになると抗体の量が成人と同じになり正しく判定できるようになります。

しかし、成人でも生まれつき抗原量が少ない人がいます。これらの人の赤血球はO型に近い反応を示すことがあり、亜型・変異型と呼ばれています。A型の亜型にはA2、A3、AX…やB型にもB3、Bx、Bm…、AB型にも同じく亜型があります。また、白血病やがんの末期ではA型がO型と区別できないくらいに抗原が弱くなることや、細菌による感染症によってA型がB型の抗原があるように反応することがあります。いずれも病気が治ると本来の血液型に戻ります。

つぎに、骨髄移植などをする場合には、ABO血液型よりも白血球(HLA)型が適合している方を優先して移植します。なぜなら、白血球(免疫の型)に違いがあると移植後に拒絶反応を引き起こしてしまうからです。白血球は異物(他者)を攻撃する細胞です。移植後のABO血液型は、患者さん本来の血液型から骨髄提供者の血液型に変わってしまいます。この場合のみ、変わった患者さんの血液型は移植前の血液型に戻ることはないのです。

このようにABO血液型はとても奥深く、今も昔も人々の興味・関心を引いてきたようです。ちなみに血液にしか存在しないと思われるABO血液型ですが、髪の毛・爪・唾液などでも検査することがあるのです。少しは皆さんの知識の参考にしていただけたでしょうか。

 

このページの先頭へ