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うみねこ通信 No.215 平成29年5月号

チョコレートが糖尿病発症を予防できるか

健康診断部長 日向 豪史

週刊誌などの記事で、「チョコレートで血糖値が下がった!」という見出しがよく出ていますね。チョコレートの原料のカカオにはポリフェノールが多く含まれています。最近、カカオポリフェノールによる、抗酸化作用、抗炎症作用が指摘されており、心血管疾患の予防効果があるかもしれないといわれています。動物実験では、カカオは血糖を低下させる可能性が指摘されています。他の食品のポリフェノール含有量に比して、カカオは群を抜いて多いのは確かです。さて、チョコレートで糖尿病が予防できるのでしょうか。

最近になって、人間において、カカオ、またはチョコレートが、糖尿病になりにくくするという報告が出ました。アメリカの男性約18,000人を対象にした研究です。65歳未満の肥満のない方限定で、週に1枚以上板チョコを食べた群は、全く食べなかった群に比して、糖尿病発症を17%抑制できたというものです。ところが、肥満の方はチョコレートの効果は全く期待できませんでした。さらに、肥満の方はチョコレートの摂取にかかわらず、肥満のない方に比して糖尿病発症率は約3倍も多かったそうです。

これは、チョコレート摂取云々よりも、カロリー過剰の影響が大きかったという結果ともいえますね。たしかに、カカオポリフェノールは血管に対しては、良い効果があることがわかってきています。でも、市販のミルクチョコレートには、糖質や脂質が多く含まれています。ポリフェノールの効果を期待してチョコレートを大量に摂っても、カロリー過剰になりますね。肥満のない方なら、カカオの含有量の多いダークチョコレートの摂取で、血糖が下がる場合があるかもしれません。しかし現時点では、糖尿病、特に肥満がある方に対して、チョコレートで血糖を下げる効果は、あまり期待しない方がいいと思われます。

 
 

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