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うみねこ通信 No.220 平成29年10月号

病理標本ができるまで

検査科 病理専門医 山岸 晋一朗

内視鏡検査などを受けた後、検査結果がすぐに出ず、後日(1~2週間後とか)検査結果を聞きにくるために再受診となることがあります。どうしてそんなに時間がかかるのでしょうか?

それは、病理検査を行っているからかもしれません。病理検査には、数日~1週間ほどかかるのが普通です。今回、病理検査とは、どのような作業をしているのか、簡単に説明してみようと思います。

1.ホルマリン固定(数時間~2日以上)

採取された組織をホルマリン固定液に浸します。蛋白質の変性をふせぎ、構造を保つために行います。

2.肉眼像での病変観察、切り出し(およそ半日)

病理医が採取された組織を目で見て観察し、診断に重要な部分を切り出します。切り出しした組織を特殊なカセットにいれます。

3.有機溶媒処理、ワックス置換 (一晩)

水溶性の固定液から、脂溶性のワックスに換えていきます。数時間ごとに異なった溶液に変えていく必要があり、時間がかかる作業です。通常は、機械で自動的に行っています。

4.ワックス包埋 (2~3時間)

ワックスに浸した組織を金型にいれてワックスで満たし冷却すると、組織ブロックが出来上がります。

5.薄切(およそ半日)

出来上がった組織ブロックを、ミクロトームという機械を使って、厚さ4μm(1㎜の4/1000)の薄い膜状に削ぎとります。誰もができるわけではない、高度な技術を要する作業です。薄い膜をスライドグラスの上にはりつけます。

6.染色 (2~3時間)

薄切された組織に残っているワックスを除去した後、染色液で染めていきます。

7.最終確認

出来上がった組織標本と組織ブロック、病理診断依頼書が一致するか確認します。

すべての標本作成作業は、国家資格を持つ臨床検査技師が、専門的な知識にもとづいて作業を行います。

8.病理医による診断(1日)

出来上がった組織標本を、病理医が顕微鏡により診断をします。必要があれば、さらに追加の切り出しを行って確認したり、特殊な染色を行ったりすることもあります。難解症例では、大学などの専門機関に相談したりします。

診断は、病理所見とともに報告書としてまとめられ、主治医に伝えられます。

このように病理診断には時間がかかります。できる限り時間を短縮しようと努力していますが、正確な診断を行うためには、どうしても時間を要します。ご理解いただければ幸いです。

 

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