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うみねこ通信 No.211 平成29年1月号

腰痛について

整形外科部長 油川 修一

日本国内の調査では、日本人の約84%が一生のうち一度は腰痛を経験するといわれています。外来診療においても腰痛を主訴に受診される患者様の数は他の訴えに比べてダントツの多さです。近年腰痛についての調査が多く行われ、おおよその治療指針が示されてきました。今回は腰痛の分類とそれに応じた対策についてお話ししたいと思います。

腰痛は危険な腰痛とそうでない腰痛に分類されます。

「危険な腰痛」
 これは医療施設で診断し治療すべき腰痛です。
おもな危険のサインは、
・発熱を伴うもの
・外傷後(転倒など)に発症するもの
・下肢の痺れや痛みを伴うもの
・安静にしていてもズキズキ痛むもの
・癌になったことがある
・免疫力が低下している状態
これらのサインがある場合、脊椎感染症(ばい菌によって背骨が壊される病気)、脊椎腫瘍(がんの転移)、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症や背骨の骨折などが原因の可能性があります。これらの病気は病院で適切な検査を受けたほうが受けないより良い結果となります。

「安全な腰痛」
 一方、それらのサインが無い腰痛は安全な腰痛の場合が多いと言えます。最近は非特異性腰痛という言葉が使われます。これは原因がはっきりわからないが、特別な医療行為が無くても痛みの経過が良好な腰痛と言われます。ただし痛みが辛い場合は、病気を治す目的ではなく痛みを和らげる目的で痛み止めを使用するのは必要です。例えば、急性腰痛(ぎっくり腰)は悪いサインが無ければ痛み止めを使いながらできるだけ普通の生活を維持するのが良いと言われます。

「慢性腰痛」
 以上のように腰痛は「危険な腰痛」「安全な腰痛」に分かれますが、安全な腰痛の場合でも、3か月以上の痛みが続いてしまい「慢性腰痛」といわれる状態になる場合があります。安全な腰痛が慢性腰痛になってしまう原因は幾つか考えられています。
・また腰痛になってしまうのではないかという恐怖感
・心理的ストレス
この二つが慢性腰痛になってしまう主な原因と考えられています。どちらの場合も日常生活の活動量が減ってしまい、体の運動量が減り、背骨の周りの筋肉が減り、背骨の安定性が低下します。慢性腰痛にならないためにも、慢性腰痛になってしまった場合でも、最も効果的な対策は運動療法です。運動の種類は問いません。運動によって背骨の周りの筋力が増え背骨を安定させます。それだけではなく、運動や社会活動への参加は心理的ストレスに良い効果があります。一番良くないのは、痛みを怖がって運動不足となり、背骨の周りの筋力が落ちてしまうことです。こうなってしまうと痛みの悪循環に入ってしまい、痛みが取れないどころか悪化してしまいます。医療機関で特に禁じられない限り積極的に運動を行いましょう。

以上、早めに医療機関を受診したほうがいい「危険な腰痛」としばらく様子を見てもいい「安全な腰痛」と腰痛が3か月以上続く「慢性腰痛」について簡単に説明させていただきました。皆様が腰痛を感じた場合の対処に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

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