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うみねこ通信 No.207 平成28年9月号

急性膀胱炎

泌尿器科部長 柳沢 健

1. はじめに

膀胱炎は膀胱粘膜に炎症を生じ、膀胱刺激症状を来たす疾患で、一般には細菌や真菌による感染性の膀胱炎のことを言います。尿路結石、腫瘍、尿路奇形、神経疾患、免疫不全など、膀胱炎になりやすい病気があるかどうかで、複雑性膀胱炎と単純性膀胱炎に分けられます。また、病勢や経過の長さにより急性膀胱炎と慢性膀胱炎に分けられます。その他の特殊な膀胱炎として、間質性膀胱炎、放射線性膀胱炎、薬剤性膀胱炎、ウイルス性膀胱炎などがあります。

膀胱炎の主な原因は尿道から細菌が侵入することですが、感染を引き起こす誘因として、性交、水分摂取不足、過度の排尿我慢、生理、便秘、疲労、睡眠不足などが挙げられます。女性は男性に比べて尿道が短く、肛門に近いため、細菌が入りやすくなっています。20-40才の女性の20-35%が膀胱炎に罹患すると言われています。今回は膀胱炎の中でも特に頻度が高い急性膀胱炎について述べます。

2. 急性膀胱炎の症状

膀胱炎の症状は、排尿痛(トイレの時にヒリヒリするような痛みがある)、頻尿(トイレに行く回数が増える)、残尿感(トイレの後も尿が残っているような気がする)、下腹部痛(下腹部が痛む)、尿混濁(尿が濁る)、血尿(トイレの後、ティッシュに血がついたり、尿が赤くなる)などがあります。発熱がみられる場合は腎盂腎炎を併発している可能性があり、しっかり治療する必要があります。

3. 急性膀胱炎の診断

急性膀胱炎は症状と尿検査により診断できることがほとんどです。痛い検査や恥ずかしい検査は、通常、必要ありません。尿検査では、膿尿(尿の中に白血球が多く存在する)、細菌尿、(尿の中に細菌が存在する)が認められます。細菌の種類を調べたり、薬の効き具合を調べるために、尿の培養検査や薬剤感受性検査を行うこともあります。1年間に何度も繰り返す場合(再発性膀胱炎)や、治療してもなかなか良くならない場合(難治性膀胱炎)には、超音波検査やレントゲン検査、内視鏡検査などが必要になることもあります。

4. 急性膀胱炎の治療

急性膀胱炎治療の基本は抗菌薬の内服です。通常、3-7日間程度の抗菌薬の服用で症状は良くなります。症状が改善しない時には、尿培養や薬剤感受性検査の結果に応じて、薬の変更を行うことがあります。原因となる菌は大腸菌が全体の約3/4を占め、わが国の感染症治療のガイドラインでは、膀胱炎に対する第1選択薬はニューキノロン系抗菌薬、第2選択薬は経口セフィロスポリンとなっています。内服治療で改善しない場合は点滴治療も考慮されます。膀胱結石、膀胱憩室、多量の残尿などがある場合は難治性になりやすく、その場合は原疾患に対する治療も必要になります。

5. 急性膀胱炎の予防

1.尿意を感じたら、無理して我慢せずトイレに行く 2.水、お茶など、出来るだけ水分を摂る 3.きちんと入浴し、外陰部を清潔に保つ 4.トイレットペーパーは前から後ろに拭くようにする 5.下腹部、骨盤部を冷やさないようにする 6.性交後は排尿するようにする 7.睡眠不足、過労を避ける 8.栄養のあるしっかりとした食事を摂る、などが挙げられます。

 

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