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第2外科部長 山田 芳嗣
本日は最近よく使用されるようになったCVポートについてご説明します。
癌の治療法の1つとして、化学療法(抗癌剤投与)がありますが、各種癌に対してさまざまな薬剤が開発され、治療成績も向上しています。内服が可能な抗癌剤であれば、患者さんの負担も軽減されますが、注射による投与が必要な場合が多く、長期にわたる治療では血管に治療針を刺すのが次第に困難となり、苦痛をともなうのが課題とされてきました。この問題に対して考案されたのがCVポートであります。
CVポートは、※中心静脈カテーテルの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートといわれるものです。その名前のとおり、皮膚の下に埋め込んで薬剤投与するために使用します。CVポートは、100円硬貨程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)より構成されています。通常は、鎖骨の下の血管からカテーテルを挿入し、右または左の胸の皮膚の下に本体を埋め込みます。カテーテルの先端は、心臓近くの大静脈に留置されます。CVポートの表面には、セプタムと呼ばれる圧縮されたシリコーンゴムがあります。ここに専用の針を刺して薬剤を投与します。薬剤はCVポート本体とカテーテルを経て、血管内に投与されます。
CVポートは、体内に埋め込むために小手術を必要としますが、下記のような大きな利点があります。
利 点
欠点としては、
化学療法は患者さんにとって肉体的、精神的、経済的に負担の大きい治療法でありますが、本日述べたCVポートをはじめとした、各種のサポート体制が充実しつつあり、以前よりはるかに受け入れやすい環境となっています。
※CV:Central(中心) Vein(静脈)
中心静脈カテーテル:心臓に近い太い静脈に留置するカテーテルのこと。
これを用いると(中心静脈は太い静脈で血流が多いので)薬剤が希釈され、血管炎が起きにくく、高カロリー輸液を行う際に用いられる。