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うみねこ通信 No.180 平成26年6月号

CVポートとは?

第2外科部長 山田 芳嗣

本日は最近よく使用されるようになったCVポートについてご説明します。

癌の治療法の1つとして、化学療法(抗癌剤投与)がありますが、各種癌に対してさまざまな薬剤が開発され、治療成績も向上しています。内服が可能な抗癌剤であれば、患者さんの負担も軽減されますが、注射による投与が必要な場合が多く、長期にわたる治療では血管に治療針を刺すのが次第に困難となり、苦痛をともなうのが課題とされてきました。この問題に対して考案されたのがCVポートであります。

CVポートは、※中心静脈カテーテルの一種で、正式には皮下埋め込み型ポートといわれるものです。その名前のとおり、皮膚の下に埋め込んで薬剤投与するために使用します。CVポートは、100円硬貨程度の大きさの本体と薬剤を注入するチューブ(カテーテル)より構成されています。通常は、鎖骨の下の血管からカテーテルを挿入し、右または左の胸の皮膚の下に本体を埋め込みます。カテーテルの先端は、心臓近くの大静脈に留置されます。CVポートの表面には、セプタムと呼ばれる圧縮されたシリコーンゴムがあります。ここに専用の針を刺して薬剤を投与します。薬剤はCVポート本体とカテーテルを経て、血管内に投与されます。

CVポートは、体内に埋め込むために小手術を必要としますが、下記のような大きな利点があります。

利 点

  1. 1)CVポートでは広いセプタム部分に針を刺入すればいいので、1回で確実に容易に針を刺すことができます。一方、従来から広く使用されている末梢静脈(手や腕の血管)の場合、血管が細く脆弱であると針を何度も刺し直す場合があり苦痛を伴います。
  2. 2)外見上、埋め込んだ部分は目立たず、通常生活には支障はありません。
  3. 3)CVポートを留置している場合は、両腕を自由に動かすことができるので、薬剤投与中に本を読むこともできます。一方、末梢静脈留置針使用の場合は、腕を動かすことによって薬剤の漏れなどの危険性があるので、腕の動きが多少制限されます。
    CVカテーテルの先端は太い血管に留置しているので、薬剤を投与するときに刺激の強い薬剤を投与しても静脈炎が起こる可能性が少なくなります。
  4. 4)長時間薬剤投与する場合、入院が必要なこともありますが、CVポート使用であれば体内に埋め込んでいるので、自宅で治療を行うことが可能となります。
    CVポートへの針の抜き刺しは、入院中および外来受診時では意思や看護師が行いますが、自宅で治療を行う場合は患者さんご自身で行うことも可能です。
  5. 5)きちんと管理をすればCVポート感染率は低いとされ、長期間使用することができます。

欠点としては、

  1. 1)使用するには小さな外科的手術が必要です。
  2. 2)合併症が起こる可能性があります(感染、出血、カテーテル断裂など)。

化学療法は患者さんにとって肉体的、精神的、経済的に負担の大きい治療法でありますが、本日述べたCVポートをはじめとした、各種のサポート体制が充実しつつあり、以前よりはるかに受け入れやすい環境となっています。

※CV:Central(中心) Vein(静脈)
中心静脈カテーテル:心臓に近い太い静脈に留置するカテーテルのこと。
これを用いると(中心静脈は太い静脈で血流が多いので)薬剤が希釈され、血管炎が起きにくく、高カロリー輸液を行う際に用いられる。

 

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